計量経済学のてびきへ    実証分析してみよう    ぱそこん いろはのい    ホームへ戻る


計量経済学 はじめの一歩

目次
(興味のある項目をクリックすると、その説明へ飛びます)

     
  1. 計量経済学はなにをする学問か
  2. モデルについて −実証分析を行う際の理論的枠組み−
  3. 経済データについて

      以下は工事中です

  4. 統計データを扱う基本的な考え方
    1. 記述統計量
    2. 標本と母集団、推定するということ
    3. 確率の考え方
    4. 点推定と区間推定
    5. 仮説検定
    6. さまざまな確率分布とその性質
  5. データの動きに直線をあてはめる −回帰分析と最小2乗法−
    1. 回帰分析の考え方
    2. 直線の当てはめと最小2乗法
    3. 最小2乗推定量の性質
    4. 推定結果の信頼性の検証
  6. より拡張した回帰分析
    1. 重回帰分析
    2. 多重共線性
    3. 外れ値とダミー変数
    4. 非線型モデルの推定
  7. 最小2乗法の限界とその克服法
    1. 残差分析と回帰診断
    2. 不均一分散
    3. 系列相関

1.計量経済学はなにをする学問か

 計量経済学(econometrics)とは「経済理論に実証的な内容を持たせ、それらを立証したり反証したりするために、経済データの分析に統計的・数学的方法を応用すること」だと『計量経済分析の方法』(CAP出版)の中でマダラは定義しています。まさにこの通りなのですが、もう少しかみ砕いて考えてみましょう。

 皆さんは、経済学を学んでいて、「現実の経済とずいぶん違うな」と感じたことがあるかもしれません。この原因の一つに、もともとはすぐれて実践的な学問だった経済学が、非常に複雑な経済現象を解きあかすために、より精緻に、抽象的に変わってきたことがあります。皮肉なことですが、経済学は、できるかぎりどのような現象にも対応できるようにしようとした結果、逆に、一見したときにはどの現象にもぴたっとは当てはまらない、わかりにくいものになってしまったのです。
 計量経済学は、ともすれば「机の上での話」に見えてしまう経済理論と、現実の経済の動き(データ)のかけはしとなり、理論が現実の動きをどのように説明しているか、また、今現在の理論では現実のどこが説明できていないかを明らかにしていく学問です。
 歴史の古い経済学ファミリーの中にあっては、20世紀に入って確立された計量経済学は、まだまだ若い分野です。しかし、さまざまな経済現象を理解し、その今後の動きを的確に予想したり、より望ましい方向へコントロールしていくための経済政策を考えていくためには、理論的な分析だけではなく、数量的・実証的な側面が欠かせないことから、現代社会では大きな役割を担っています。

 計量経済学は、さまざまな学問分野の助けを借りて分析を行います。ざっとあげても、モデルの策定では経済理論の、データを利用する際には記述統計学の、推定・検定作業には数理統計学の考え方を援用します。その意味で、非常に総合的な学問です。

   計量経済学は、経済学における計測を主眼とするものです。ただし、この計測は、事実の単なる記録ではありません。ここで、計量分析の手順を考えてみましょう。

  1. ある経済現象について、モデルを、数学的な形で特定化する
  2. モデルの説明しようとしていることがらに適切な関係のあるデータ(現実の統計資料)を集める
  3. データを用いて方程式の係数(モデルの母数)を推定する
  4. 推定結果の検定(テスト)、モデルの検定を行う
  5. 構築された計量経済モデルを用いて、経済政策の効果の測定や予測(シミュレーション)を行う
これらのプロセスをへて、信頼できる、あるモデルの係数の値がわかったならば、
  1. (少なくとも、ある一断面について)経済の動きを把握する
  2. (そのモデルが将来についても適用できるならば)それを用いて予測を行う
  3. 制御に用いる 方程式の変数が、望ましい方向に変化するように設計する:経済政策や経済計画の立案に用いる
ことができます。これらが、計量経済学の目標とするところです。
   

2.モデルについて -実証分析を行う際の理論的枠組み-

 モデルとは、いろいろな経済現象を分析していく際、現実の構造や関係は複雑なので、当面の分析にとって本質的な部分のみを表したもののことです。モデルをよく理解するためには、経済理論(経済学)の知識が不可欠です。
 モデルはいわば現実の近似ですから、できるだけ現実を忠実に表したものが望ましいと考えられます。より精密なものほど、モデルは複雑になります。一方、実験ができないことから計量分析で利用することのできるデータ数は限られています。計量分析でより信頼できる結果を得ていくためには、取り扱いやすい簡単なモデルが必要です。このような複雑化の要請と単純化の要請をうまく両立させていくことが重要です。

 計量分析では、モデルをデータとつき合わせて分析する必要から、モデルは必ず数式の形で表現されていなければなりません。
 もっともシンプルな数式である1次式を考えてみましょう。Yを結果、Xを原因の変数とすると、Y=a+bYという式が考えられます。ここで、aはY切片(Xが0の時のYの値)、bは傾き(Xが1増えたときにYがどのように変化するか)を示しています。この式では、Xの値に関わらず傾きbは一定と考えていますから、この式を図に表すと(対応するグラフは)、直線になります。

 現実の経済現象を表現するには、このような式では単純すぎると思う人もいるでしょう。
 たしかに、実際には、ある現象の原因が1つということはまずありません。たとえば、Aさんの1ヶ月の消費額(Y)は、Aさんの所得(X)、そのときの物価(P)、Aさんの預金額(A)、Aさんの好み(L)などいろいろなものが関係するでしょう。このときもっとも単純な形のモデルは、Y=a+bX+cP+dA+eLといった1次式で表すことができます。上で考えたモデルY=a+bXは、これらの原因のうち、もっとも影響度の強い要因(所得)だけを取り出したものになっています。私たちは、とりあえず、もっともシンプルなモデル、原因が1つだけの直線で表されるモデルから分析をはじめますが、いずれ、この制限をはずして、より現実に近い形のモデルをも分析していきます。
 また、実際の現象は、一定のスピード・割合で変化するものばかりではないでしょう。すなわち、グラフにしたとき直線で表されるものばかりではありません。この問題については、簡単な変数変換を行うことで対応する方法について、6-4で詳しく学びます。

 モデルY=a+bXの左辺の変数を被説明変数、右辺の変数を説明変数と呼びます。このことからも明らかですが、ここでは、YはXによって決まる、すなわち、Yが結果でXが原因という因果関係を考えています。単にYとXの間に関係、関連があると考えているのではありません。
 このように、ある変数間に因果関係を想定して分析を行う方法を、回帰分析と言います。

   

3.経済データについて

 経済現象を分析していく際、もっとも大きなネックになるのは、多くの場合データの数が少ないこと、そして、実験を行うことができないこと(そのため、データ数を人工的に増やすことができません)です。 このため、他の(いわゆる理系の)多くの分野と異なり,経済データの分析に際してはデータの処理の際に特有な注意が必要になります。(理系の分野でも,たとえば医学の分野のように,データ数を増やすことが困難な分野もあります。)
 このような「小標本」を取り扱う場合の,統計学上の注意については,次のセクションで詳しく説明します。

 多くの場合,我々は、自分でデータを作成・収集するのではなく、出来合いのデータを利用します。この際,単に、データの表題を見るだけではなく,データの内容をきちんと把握しておくことが大事です。たとえば、「失業率」のデータは、総務庁と労働省の2省庁から出ています。比較してみると,動きがかなり異なることがわかります。これは、「失業」についての定義が両者で異なるからです。また、貯蓄率の動きを調べるために,『家計調査』と『国民経済計算』を用いたとしましょう。前者では,近年貯蓄率は大きく低下する傾向が見られますが,後者ではそのような傾向は見られません。これも、両者のデータ作成時の定義・作成法が異なるからと考えられます。
 データを利用する際のチェックポイントをいくつかあげてみましょう。

  • 調査対象である経済主体  (誰が、その経済行動の主体か)
  • 調査対象数 (個別データか平均を取ったデータか。後者の場合、調査対象数はいくらか)
  • データのタイプ  (年次・四半期・月次・日時、など。年次の場合は,年度か暦年かに注意)
  • データの期間  (欠損値がないか,途中で制度が変化した時期がないか)
  • 調査項目の定義
   

4.統計データを扱う基本的な考え方

1.記述統計量
2.標本と母集団、推定するということ
3.確率の考え方
4.点推定と区間推定
5.仮説検定
6.さまざまな確率分布とその性質
   


to be continued...

5.データの動きに直線をあてはめる −回帰分析と最小2乗法−